マインドと身体の関係 ー自己を変える基盤としての身体
- LIGHTHOUSE
- 5月11日
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更新日:9月10日

マインドとは何か
マインド[Mind]とは、一般的に、私たちの思考や感情、知覚、記憶、意志といった心理的現象の総体を指す言葉です。マインドの定義は心理学や哲学、認知科学などの分野で多様に議論され、その解釈は研究分野や理論的背景、文脈によっても異なります。世界的認知科学者の苫米地英人博士はマインドを端的に「脳と心」と定義しています。言い換えると、マインドとは「私たちの脳と心が持つあらゆる機能のこと」です。
マインドは、私たちの人生のあらゆる判断や選択・行動に影響を与えています。私たちが何かを判断する時には、脳と心で知覚した感情や価値観、思考、意志などが「起点」になっています。さらにマインドには意識的なプロセスだけでなく無意識的なプロセスも含まれます。ここでの意識と無意識の違いは「自覚の有無」です。自覚の有無に関わらず、私たちは日々マインドを起点に、さまざまな判断や選択・行動を行なっています。
マインドと身体の関係
マインドは、身体から独立した「抽象的な存在」ではありません。マインドを生み出す「脳」は神経系を司る身体の一器官です。そして脳を通じて生まれる「心」の働きもまた、ホルモンバランスや自律神経、内臓の状態と密接に関係しています。例えば「呼吸が浅くなると不安や緊張を感じやすい」「不安や緊張を感じると呼吸が浅くなる」。この2つは、どちらも多くの人が身をもって経験しているのではないでしょうか。このように、マインドは「身体から独立した抽象的な存在」ではなく、身体と密接につながって相互的に機能していると言えます。
身体は、マインドを構成する重要な要素です。私たちの体内では、マインドに影響を与える「さまざまな情報」が細胞レベルで絶え間なく行き来しています。人間は長年「脳が身体に指令を出している」と考えてきました。しかし近年の研究では、私たちの脂肪や筋肉、骨の細胞が、さまざまなメッセージ細胞を通じて「脳に指令を送っている」ことが確認されています。
体調を整えることが、マインドを変える基盤となります。前述の呼吸の例では「呼吸を整える」ことで不安や緊張を和らげることができます。これは身体の状態を変えることでマインドを変化させるアプローチです。心理学や自己啓発などマインドを扱う分野では、自己認識や解釈といった「認知を変えるアプローチ」が重視されがちです。しかし実際に私たちの認知が変わる際には、マインドの構成要素である「身体の状態」がマインドに直接的に影響を与えています。ですから「日々の体調を整えること」が、マインドを変える重要な基盤となります。
自己を変える基盤としての身体
私たちのマインドの状態は、睡眠・栄養・運動・血流・ホルモンバランスなど、複数の要素によって生み出されています。マインドが身体の影響をダイレクトに受けている以上、人間の認知だけを変化させようとしても無理が生じます。マインドを望む状態に整えるためには、脳と心を含む身体全体の状態に意識を向け、影響要因を考慮し、質やバランスを向上させる必要があります。以下に、マインドを整えるためのバランスホイールの一例を示します。

左側がメインのバランスホイール、右側が「食」のサブバランスホイールです。
身体の状態を整えることで自ずとマインドも整い、自分の望みや意志を抵抗なく行動に反映させることができます。なぜなら、マインドを良い状態に維持できると、自らのエネルギーを身体の回復や感情の整理、思考の軌道修正などに必要以上に割くことなく「やりたいこと」に注ぎ込めるからです。反対に、マインドが不安や恐れ、否定感、無力感などを感じている時は、自身を「本来の力が発揮される自然な状態に戻す」回復力が必要になります。身体に痛みがある時に創造性や集中力が失われるように、心に回復すべき事象がある状態では創造性や集中力が十分に発揮されません。やりたいことがあるのに、なかなか進まない。その理由の一つとして、やりたいことに注ぐべきエネルギーが、回復や調整に奪われていることが考えられます。
エフィカシーを高める有効な方法の一つが、体調を整えることです。エフィカシーとは「ゴールに対する自己能力の自己評価」のことです。エフィカシーが高いと「○○したい」「○○になりたい」とゴールを描いた時に「自分には達成する力がある」と自己評価します。この「当然の確信」がある時、私たちは誰に何と言われようと、達成方法を探りながら進んでいくことができるのです。エフィカシーを高めるための要素は複数ありますが、すぐにできることの一つが、体調を整えることです。
整ったマインドが生み出す世界
良い体調と整ったマインドを維持することで「やりたいことを好きなだけ」行うことができます。例えるなら、燃費の良い車のようなものです。車の状態が良くエネルギーを効率的に使うことができれば、遠くの目的地まで快適に走ることができます。私たちも同様にマインドを乗せるBODYの状態が良いとエネルギーが潤滑に流れ、心ゆくまでやりたいことに打ち込むことができます。そして走行実績(成功体験)が増えるほど「もっと遠く」「未知の場所へ」「自分なら必ず到着する」と高いエフィカシーで新たな目的地を目指していけるのです。


