コーチングの中心概念 ー「現状の外側のwant toゴール」の設定
- LIGHTHOUSE
- 9月11日
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現状の外側のwant toゴール
コーチングの中心概念は「ゴール設定」です。ゴールは、しばしば「目標」とも混同されますが、イコールではありません。目標というと、例えば「今年の売上目標」「資格試験の合格」など、具体的かつ実用的な状態を表すことが多いのではないでしょうか。そして、目標を達成するとは、その具体的かつ実用的な状態を突破するというイメージが強いでしょう。しかし、人生のゴールを思い描く時、必ずしも具体的・実用的なものである必要はありません。
コーチングにおける「ゴール」には、①現状の外側であること、② want to ゴールであること、という2つの鉄則があります。この2つの鉄則は、コーチがクライアントに対して行うコーチングにおいても、自らに働きかけるセルフコーチングにおいても、変わりません。もしゴールの世界が、現状維持や、〇〇しなければならない(have to)という理由から描かれた世界なら、コーチングのシステムは十分に機能しません。その場合は、コーチングとは別の何らかのシステム(例えばコンサルティングやカウンセリング)と言えます。
「現状の外側」とは、現在の自分では想像すら難しい未来です。想像しようにも、ぼんやりとしていて鮮明に思い描くことが難しい。現在の自分が、何をどのように行えば実現できるのか、達成方法が見えない。そのようなゴールです。想像すら難しく達成方法も見えないゴールを、一体、どんなふうに叶えるのか? その鍵は、私たちの無意識にあります。
私たちの無意識は、目的に向かっていく性質を持っています。この性質を、テレオロジカル(目的的志向)と言います。テレオロジカルとは、心から望むこと(want to)は、どんな障壁があろうと、ごく自然に達成してしまう力のことです。私たちは、誰もがこの偉大な潜在能力を持っており、心から望むことに向かう時、そのゴールは誰が何と言おうと達成してしまうのです。

陥りがちな「理想的な現状のゴール」
一方で、ゴール設定の際に落ち入りがちなのが「理想的な現状のゴール」を選択してしまうことです。人は、生得的に未知に対して不安や恐怖を抱きます。いわゆるリスク回避です。よって、ゴール設定の際に、つい自分が経験してきた状況をベースにゴールを考えようとしてしまいます。例えば、過去に評価されたことや、すでに経験してきた分野、現在の人間関係などをもとにゴールの世界を描こうとするのです。
理想的な現状のゴールでは、どんな挑戦も、現状を肯定し、それらを維持するための手段になります。理想的な現状のゴールの方が、鮮明なイメージが描きやすく達成方法も明確ですから「目標」にしやすいでしょう。そこに向かっていくプロセスにおいても手応えを感じやすく「挑戦している感」が得られやすいかもしれません。しかし、現状の外側の want to ゴールでなければ、無意識の力が最大限に発揮されません。ここが、注意すべき点です。
人生のゴール
「人生のゴールは漫然としたものでかまわない」。これは、コーチングの創始者であるルー・タイス、そして、ルーとともにコーチング理論を構築し最新の認知科学を取り入れ続けている苫米地英人博士の言葉です(苫米地英人. AFFIRMATION「言葉」があなたの人生を決める. フォレスト出版, 2013, p.23)。漫然としながらも、他者評価から離れた自分の want to であること、誰に止められてもやってしまうほど好きなこと、ワクワクすること。そして、現状の自分では到底、達成できないと感じるような未来。それが「現状の外側の want toゴール」です。
「現状の外側の want to ゴール」は、過去に何となく諦めてしまったことや、現状において、どこか不安や恐怖を感じていることにこそ、眠っている可能性があります。あなたにも「本当は○○だったら最高だけど」と思うような世界が、あるはずです。それらは、いわば人生のゴールの原石です。漫然としたイメージでも、達成方法が見つけられなくても、その最高の状態をゴールにしてみましょう。達成方法は、ゴールに向かう中で必ず発見できます。




